循環器科

当院の心臓病治療



心臓病を専門に学んだ獣医師による治療

当院の副院長は、大学で循環器科を専攻し、その後も大学病院附属動物医療センター循環器科で約2年間に渡る研修を修了するなど、心臓病に関する様々な専門的なトレーニングを実施してきました。

現在も大学病院循環器科にて研修を続けており、最新の知識を患者様に還元できる様に勉強しています。

心臓エコーを駆使した検査と、進行度に合った治療

聴診器による心臓音やレントゲン画像だけでは、心臓病の進行度を調べるのは難しいというのが正直なところです。そのため、当院では心臓エコーを導入して、しっかりと病気の進行度を確認するようにしています。同じ心臓病でも、進行度が変わればお薬の種類が変わったり治療方針そのものが変わったりすることがあります。また、場合によっては、深刻な心臓病ではないことが分かり、食事を変えるだけで回復するようなケースも珍しくありません。当院では、あらゆる治療において、まずはきちんと検査をして状況を正確に把握することを大切にしています。

 
 
 
 
 
 

犬や猫がなりやすい心臓病とは!?

犬の僧帽弁(そうぼうべん)閉鎖不全症

犬の正常な心臓
 
 

犬の心臓には、人間と同じように4つの部屋があります。そして、左心房(肺でたっぷりと酸素を受け取った血液が流れ込む部屋)と左心室(全身に酸素を送るための大動脈へと繋がっている部屋)の間にある弁のことを「僧帽弁」と言います。マルチーズ・シーズー・ポメラニアン・キャバリアなどの小型犬に中には、この僧帽弁が肥大して上手く閉じられなくなってしまうことがあります。すると、左心室から大動脈へ血液を流そうとしても、一部の血液が左心房へ戻ってしまうことになります。これが、僧帽弁閉鎖不全症です。

 
 
僧帽弁閉鎖不全症の主な症状
  • 心臓が大きくなる
  • 気管が圧迫されて咳が出る
  • 肺に水が溜まる
  • 呼吸しづらくなる
  • 血流が悪くなる
  • 虚血状態で足元がふらつく
  • 頭が正常に働かない
僧帽弁閉鎖不全症の治療方法
  • お薬の投与(血圧を下げる、心臓の筋肉肥大を抑える)
     ※症状が軽くなったからと言ってお薬をやめてしまうと、病気が再び悪化するリスクがあります。
  • 食事コントロール(減塩、低脂肪など)
  • 口腔内疾患の治療(歯周病など)
    ※口腔内で繁殖した細菌が血液の中に入ると、心臓まで到達して病気を悪化させる恐れがあります。
  • 散歩時間の工夫
    ※外で他のワンちゃんに会って興奮すると、心臓に負担がかかります。
  • 手術(人工心肺を使った心臓外科手術)
    ※設備の整った病院を紹介させて頂きます。

猫の肥大型心筋症

猫の正常な心臓
 
 

原因は分かっていませんが、心筋(心臓の筋肉)が次第に厚くなっていってしまうことがあります。すると、心臓の機能が低下して血液をきちんと全身に運ぶことが難しくなってしまいます。また、心臓内の血流が悪くなるため、心臓の中に血栓(血液の塊)ができやすくなり、これが動脈に流れ出して血管の中で詰まることもあります。これが肥大型心筋症で、ある日突然症状が現れるという特徴があります。

 
 
肥大型心筋症の主な症状
  • 突然元気や食欲がなくなる
  • 苦しそうにうずくまる
  • 呼吸がしづらくなる
  • 酸欠状態で失神する
  • 肺に水が溜まる
  • 激しい痛みが出る
  • 狂ったように鳴いたり暴れたりする
  • 後ろ足の肉球が白くなる
  • 足元がふらつく
  • 後ろ足が冷たくなる
  • 後ろ足が麻痺する
肥大型心筋症の治療方法
  • お薬の投与(血栓を溶かす薬、強心剤、利尿剤、血管拡張剤など)
  • 注射(血栓を溶かすお薬)

残念ながら、この病気はまだ原因が解明されておらず、上記の対症療法的な治療を行って症状の緩和を期待するしかありません。